シオタの塩分過多な日常

シオタです。「しょっぱい自分が、塩分過多な毎日をどう過ごし、いかに楽しく生きていくか」がテーマです

情熱が才能を開花させ、世間を巻き込むのだ

 

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ずーっと思い出す事が無かったけど、ちょっと前に仲間とお互いの中学生時代について話をしていて、ホントに久々に思い出した事があったので、今日はその事について書いてみようかと。

 

あれは中学2年生の時。

クラス替えをして、1年生の時とは全然違うメンバーに変わった。

とは言え、そんなに大きな学校でもないし、近隣の小学校数校から卒業生が集まって形成されている中学校である。しかも、俺が通っていた小学校の卒業生が一番多くて、学年の半数以上は同じ小学校からだったので、2年生になった時には、学年の男子であれば全員の顔と名前が一致する。女子は話した事が無い子の方が大半だったけど、でも、顔と名前くらいは何となくわかるような状態だった。そんな感じで、あいつはどんなキャラなのかというのも、大体分かっている状態で、クラスの中が幾つかのグループに分かれるのはあっという間だった。グループは男女が混ざってグループ化することはなく、男子は男子、女子は女子というのがウチの学校では自然だった。

 

そんな中で、俺は当然ながらクラスの中でも目立たない方のグループに属していた。そのグループの構成メンバーは数人いたと記憶してるけど、今となっては誰がいたのか正確に思い出せない。ただ、当時は(というか「俺のいた中学校は」になるのかもしれないけど)グループが幾つかありはしたけど、基本的には全員がどのグループにも出入りして交流があるというのが一般的だった。ただ、放課後に親しく遊ぶメンバーは大体が所属グループのメンバーと言う感じだったと記憶している。

 

そんな俺が所属するグループの中に『カオル君(仮名)』というヤツがいた。この『カオル君』、体が小さくて髪型はおかっぱ(今で言うショートボブかな。当時はそんな名称は知らなかった)、動きもちょこまかしててどっちかというとカワイイ系のキャラのはずなんだけど、前髪から覗く眼つきは細く切れ長の鋭い目、全体の雰囲気としては陰のある感じ、笑い方はリアルに「フフフ…」。そして彼の話題は漫画の話オンリーだった。オブラートにくるまず率直に言えば、THEキモイ系。更に、この『カオル君」は、中学生にとって3年間の学生生活に大きな影響を与えるであろう勉強と運動がどちらも大の苦手だった。

ここまで揃っていると、中学生という残酷な世代が集まっている学校の中でなかなかヒドイ仕打ちを受けたりしそうなんだけど、そんな事は全くなく、どっちかと言うとクラスの人気者だった。本人は特に騒いだり面白い事を言ったりするわけでもないので、「あいつ人気あるな」という感じは一見しないかもしれないけど、実際にはクラスの男子の多くが彼の事を好意的に見ていたし、俺も彼の事は好きで、グループのメンバーと一緒によく遊んだと記憶している。

 

さて、そんなキャラの立った『カオル君』の人気だけど、これは、彼だけが持っているモノが大きな要因だったと推測される。

その、彼だけが持っているモノというのが、『カオル君自作のオリジナルゲーム』だ。

どんなモノか詳細に書くと、恐らく当時あのゲームで楽しませてもらった俺の同級生達は確実に思い出すんと思うので、サラッと触れると特徴はこんな感じ。

・当時ジャンプで連載真っ最中で全てのクラスの男子が必ず毎週読んでいた大人気のドラゴンボール(@鳥山明)を題材にしたゲーム。

・基本的にはドラゴンボールに登場するキャラ同士の対戦バトルゲーム。

・大学ノートに鉛筆で手書きされたゲーム。全て『カオル君』の手書き。

 

さっきも触れた通り『カオル君』は大の漫画好き。特にドラゴンボールが大好物で、時間があればドラゴンボールの話と、ドラゴンボールごっこ。俺も一緒になってごっこ遊びを心から楽しんでやっていた(恐ろしい事に中学2年生の時の話である)。

そんな『カオル君』なので、ドラゴンボールが好きすぎて作成したゲームなんだと思う。そのゲームをある日突然学校に持って来たと記憶している。

そして、その時から、ウチのクラスの中でブームが巻き起こった。

1つは、『カオル君自作ゲーム』で自分の好きなキャラを操って対戦ゲームをする事。(このゲームが本当に面白くて、1日の休み時間の間中誰かがこのゲームをやってる状態で、常に順番待ち。結局俺もやらせてもらえたのはほんの数回だった気がする)。

もう1つは、自分の自作ゲームを作って学校に持ってきて披露する事。これは、『カオル君自作ゲーム』で遊んだカオル君チルドレン達が、自分達も同じようにゲームを作って、クラスの皆に楽しく遊んでもらおうという事でやり始めたんだと思うけど、これはまさに社会の縮図の通り、二匹目のどじょうはいなかったのだ。

俺もこの時、自作ゲームを作った。作成には、かなりの時間を費やした。何しろ、大学ノートに手書きで作成するのだ。まずそれだけでも時間がかかる。メインは絵だ。漫画に如何に忠実に書くか。絵が下手だと成り立たないゲームだ。そして、やってみて面白いかの確認。「うん、面白い」自分で作ったゲームに自分でこんな感想を持って、学校に持参し休み時間に披露した。今となってはその時の気持ちがあまり思い出せないけど、これはきっと、その後の惨憺たる結果を封印する為だったのかもしれない。

 

この話を思い出して、あらためて『カオル君』の凄さが分かった。

 

まずは、キャラ対戦バトルのゲームであるという事。

そもそも人気漫画のキャラ対戦バトルという形式は、今でこそ当たり前すぎるゲーム様式かもしれないが、それはテレビゲームが発達してからの話であって、当時は存在しなかった。それを「ドラゴンボールが好き」という気持ちで考案し形にした。

 

次に、今までに見た事ない斬新なゲームシステムだったという事。

詳しくは書かないけど、スゴロクのようにサイコロを振るのが基本なんだけど、それによってキャラ対戦バトルを臨場感を持って漫画を再現しつつ、漫画ではありえない対戦なども実現する。これも、今のテレビゲームでは当たり前だけど当時は存在していなかった概念を「ドラゴンボールが好き」という気持ちで考案し形にした。

 

最後に、運・相手キャラと自キャラとの相性・戦略のバランスが絶妙。

この組み合わせ次第で、クリリンでもラディッツに勝ったりという事が起きる。最期まで勝敗が分からないという面白さを「ドラゴンボールが好き」という気持ちで考案し形にした。

 

この辺が『カオル君』の凄さかなと。

何しろ、当時は1980年代後半。まだJリーグも始まっていない時代。確か、東京ラブストーリーが毎週放送されていて、「カーンチ、セックスしよ」で学年男子一同が翌日に浮足立っていた時代。

この時代に、それから数年後にゲーム業界で大ブームになるようなジャンルを、大学ノートと鉛筆だけで既に実現していた男。そして、その事に本人はおろかそのゲームで楽しませてもらっていたヤツラ誰一人として気づいておらず、世界に気づかれる事のなかった不遇の天才『カオル君』。

今考えると本当にすごいヤツだったんだなと思った。

 

今も変わらず何かに情熱を注いでどんな規模でも自分の周囲の人達を巻き込んで楽しく暮らしてるといいなあ。

 

中学2年生にもなって一緒にドラゴンボールごっこを心から楽しんでいたシオタより

 

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