シオタの塩分過多な日常

シオタです。「しょっぱい自分が、塩分過多な毎日をどう過ごし、いかに楽しく生きていくか」がテーマです

荒野では、己の判断のみが生死を分かつのだ

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「せめて仕事くらいちゃんとできないとさ」

こんな事を、俺が誰かに言う日がくるなんて。

 

今日の午後、部下のK君(最年少男子)を会議室に呼び出した。
彼に任せている仕事の進め方について、どうしても個別に確認した事があったのだ。
ひとまずは彼の話を聞く事にした。

 

シオタ:「なんでこうなったの?」
K君:「…。何でと言うか…。特に理由はありません」
シオタ:「(出たよ)理由がないのにこうなるの?」
K君:「…。はい。そこについては理由は無く、とりあえずでやりました」
シオタ:「とりあえず?」
K君:「はい。とりあえずでやっちゃいました。すみません」
シオタ:「いつも言ってる通り、全ての仕事には理由が必要だって話してるよね?」
K君:「はい。すみません」

 

謝られても仕方のない話なのだ。
彼に任せた仕事は、ぶっちゃけた話をすると、別にそれ程重要度は高くない。
彼の言う通り「とりあえず」で進めても、それほど大きな損失に今すぐ繋がるわけではない。
ただ、未来の可能性を狭める事には繋がりかねない内容なのだ。
それがどれくらい狭める事になるのかは、未来になってみないとわからない。
つまり、その損失を計量する事は、実はできない内容なのだ。
ただし、しっかり根拠立てて先の見通しまで考えられる範囲で考えた結果であれば、
どんな未来になろうとも、それは全く問題が無い。
俺はそう考えているし、会社の方針もそうなのだ。

 

そんな仕事を今年度からK君に任せている。
そして、年度当初からあらゆる仕事について上記の「全ての仕事には理由が必要」だという話をずっとしている。
彼が携わる仕事について、何かを決める段階において必ず俺が確認をして、理由を確認し理由が無いまま進めようとしている事柄については全て却下してきた。

この数カ月間、彼に対してはここまでの関わりをして、その結果が今日だ。

 

『理由=根拠』
これを考えるという事は、つまり、物事に意味付けをするという事に他ならない。

 

何かから、無言のメッセージを届ける
何かから、無言のメッセージを受け取る
何も無いところから、意味を見出す

これらは全て『気づき』や『学び』に通じる事なはずだ。

 

K君をはじめとしたウチの会社の若手達はみんな総じて意識高い系だ。
常日頃から「成長したいです」「学びたいです」という言葉を吐いている。
だけど、実際にはこのありさまだ。

 

ウチの若手の中でもK君は、自分のこれまでの経歴にコンプレックスがあるらしい。
彼は時折こんな事を言っている。

 

「僕は、大学中退してるんで道を外れちゃったんです。でもこの会社に入って色々やらせてもらえて、段々と一人前の社会人にしてもらっています」

 

会社に対して、いつも感謝の言葉を述べているのだ。
この言葉が本心からなのか取り繕っているのか、俺にはわからない。
でも、事実として彼はこの言葉を事あるごとに言っている。

 

そんな彼に、俺は冒頭の言葉を伝えた。

「せめて仕事くらいちゃんとできないとさ」

 

その後でこんな事も伝えた。
「いつも自分で言ってるよね、道を外れたって。で、この会社のおかげで一人前の社会人になってきてるんでしょ?だったら、せめて仕事くらいちゃんとできないと。自分にとっての会社は、道を外れた自分を一人前にしてくれてるんだよね。じゃあ、会社にとっての君は一体どんな意味があるんだと思う?」

 

この問いかけに対して彼はこう言った。
「…考えた事も無かったです」


自分にとって、会社は自分を救ってくれた存在。
だけど、
会社にとって、自分がどんな存在なのかは考えた事がなかった。
彼の世界はこういう風に成り立っているのだ。


でも、俺からしたら、

彼の世界がどうであろうと知った事ではない。
俺は彼の上司である。
言って見ればただそれだけの存在だ。
彼が会社に貢献できるように様々な面でサポートをする役割。

と同時に、

彼がどれだけ無能だとしても、

彼を動かして会社の求める成果を出す事が俺の役割だ。

 

なので、彼の世界がどうであろうと俺には関係が無い。
だからこその言葉。

 

「せめて仕事くらいちゃんとできないとさ」

 

この後に、
どんな言葉が続くのか。

それは、俺が言う事じゃないのかもしれない。

彼が自分で『意味』を考えて、

この言葉の後を自分で続ければいいんだと思う。

 

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