シオタの塩分過多な日常

シオタです。「しょっぱい自分が、塩分過多な毎日をどう過ごし、いかに楽しく生きていくか」がテーマです

死にゆく男たち女たちは、何を懸けるのか何を残すのか

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今日は朝から誰もいなかった。

 

正確には、店舗の中に役職者が俺以外いなかった。

こんな日は滅多にない。
大抵は、俺以外に数人いる役職者たちの数人はいるようになっている。


何故なら、数人いる役職者がそれぞれの持ち場を見ていないと、ウチのスタッフが機能不全に陥るからだ。
そう、彼らはありとあらゆる判断を役職者たちに委ねてくるのだ。
もっとも、それが会社の方針なのだから仕方ない部分はあるのかもしれない。

 

ただ、今日は俺しか役職者がいないので、全てのスタッフが何かあると俺のところにダイレクトに話をしに来た。
「いつもは、だいぶ助かってたんだなあ」と変な感心をしつつ、スタッフが相談に来る些末な用件を片付けた。

本当に色んな事があった。
それも、かなりどうでも良い事ばかり。

 

朝いちばんに持ち掛けられた用件はこんな感じ。
Rさんという入社2年目(とは言え、転職してウチに来てるので社会人経験は5年目?)の女性スタッフが俺のところに「相談があるんですけど」とやってきた。

 

シオタ:「どんな相談?」
Rさん:「えーと、お店の問い合わせ用アドレスに取引先企業からメールが来て、返信文を作ったんですけどこれで良いのかなと思って」
シオタ:「返信メールの内容を確認すればいい?」
Rさん:「お忙しいのにすみません。私、初めてで。メール作ってみたんですけど、難しくて」
シオタ:「(気を遣う割には会話が噛み合わない…)メール確認するからちょっと見せて」
Rさん:「はい。これなんですけど」
シオタ:「これ?じゃあ、ちょっと見るね(確認中)あー、この内容への返信ならこれでいいんじゃない?」
Rさん:「大丈夫ですか?良かった。じゃあこれで送ってよろしいですか?」
シオタ:「(おっと!これは危険なヤツかもしれないぞ)送ってよろしいというのはどういう事?」
Rさん:「えっと、この内容で返信して良いですか、という…」
シオタ:「いや、そうじゃなくて。このメールは返信する事が決まっているメールじゃないの?」
Rさん:「私、はじめてなんですけど。このメールきたのが今朝だったんですけど」
シオタ:「ちょっと待って。ここの送信者のところに『6/1 fri』って書いてあるけど?今日きたメールじゃないんじゃない?」
Rさん:「あー、えっと、私がメール見たのが今朝って事なんですけど」
シオタ:「(あぶねー!こいつハメようとしてきたのか!?)そっか。じゃあ早めに返信した方が良いと思うけど」
Rさん:「あ、でも、この問い合わせメールが来たのと同じくらいのタイミングで、外回りスタッフのMさんのメールにも同じような問い合わせが来てて、Mさんが対応したって言ってたんですけど。私も返信した方が良いですか?」
シオタ:「(こいつ何を言ってるんだ!後から後から知らない情報を出してくるじゃねーかよ)じゃあMさんにどんなメールのやり取りを確認してからの方が良いよね」
Rさん:「あ、えーと、それは確認していて、Mさんはこのメールと同様の内容が書いてあったので回答しといたよって言ってくれてます」
シオタ:「(マジか!じゃあ何の相談だ!?)あ、そうなんだ。じゃあ、これで解決なんじゃないのかな?」
Rさん:「じゃあ私は返信しなくてよいって事ですか?」
シオタ:「Mさんがホントに既に対応してるなら返信しなくていいと思うよ。そもそも問い合わせメールの内容がウチのサービスに関する問い合わせだから。Mさんにもう一度確認をしてきて。あと、Mさんに、この件の報告をシオタにするように伝えてきてね」
Rさん:「わかりました~」
シオタ:「(結局、自分が動いた後に何かあった時の責任逃れをしたいが為の『確認』という名のもとに行われた、なすりつけだなこりゃ)」

こんな、どうでもよい案件から一日が始まった。


その後も、こんなレベルの話が山ほどあり、一日の終わりには、他店舗にいるRさんとは全然別のスタッフからシオタ宛に電話が鳴り、さらに性質の悪い『なすりつけ案件』が発生しそうになった。
しかし、テンパっている他店舗店員のAさんを落ち着かせるためにも、まずは話を聞き、落ち着かせた。
その後、今問題だと考えてる事を一つずつクリアしていって、実際の問題は何かについてアプローチをさせるために、まるでカタコトで話をする外国人のように断片的にしか話ができないAさんの話を解読し、一体何が問題で、何が問題ではないのかを明確に分けてあげて、対処にあたるように指示を出した。
この騒動の際にも、
Aさん:「シオタさん、どうしたらいいんですか?」
シオタ:「かくかくしかじかってことなら、これこれこうしたらいいんじゃないかな」
Aさん:「じゃあそうします!」
シオタ:「(まてまてー!)いや、前提はちゃんと満たしてるの?」
Aさん:「いえ、満たしてません」
シオタ:「(おーい!)じゃあそうしたらダメだよね」
Aさん:「…はい」

なんてやり取りがあった。


ホントに、一体全体どうなってんだろう?
マジでわからないことだらけだ。


不測の事態が起きた時に、適切な行動をとれる力っていうのは、やっぱりあるんだよな。
これが、いわゆる、『生き残る力=サバイバル能力』っていうやつなのかもしれない。
きっと彼らは、不測の事態が起きた時には、本人たちが思っているよりもあっさりと、本当にあっさりと、あっけなく死んでしまう存在なのかもしれない。

そう考えると、今のこの時代が過去の歴史のどの瞬間にも存在し得なかった、
『類稀な平穏な時代』というのもとてもよく理解できる。
とても素晴らしい時代なんだなというのも身をもって感じる。

でも、その反面、彼らのような人達に出会って関係性を持つと、なんて言ったらよいのか、切なさと言うか儚さと言うか哀しさというか、それらがごちゃ混ぜになったようななんとも言えない切なさのような感情が心をよぎるんだよな。

 

一体、これは何なんだろうとはたまに思うけど、きっと俺が感じてるそのままなんだろうな。

現実的に今この瞬間に彼らは生きているけど、俺が「ヤバい」と思う事態に遭遇した時の瞬時の判断を、ことごとく間違っている彼らを見ると「あ、今死んだな」っていつも感じてるから、彼らを見ると哀しくて切ないのかもしれない。

 

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