シオタの塩分過多な日常

シオタです。「しょっぱい自分が、塩分過多な毎日をどう過ごし、いかに楽しく生きていくか」がテーマです

「等価交換」を唱える前にまずやっておくべき事

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ウチの会社では、新人なら誰もが通過しなければならない儀式がある。

 

今日は、最近入社した大型新人T君(20代前半・男性)がその儀式を受ける日だ。
この大型新人T君についてはこの記事を参照していただきたい。

shiotapathos.hatenablog.com

 

ウチの会社が設けている儀式、
それは、『一人でできるもん!?わくどきロールプレイでチェックタイム!』だ。

 

まあ、簡単に言うと営業トークのテストである。
「そんなのどこでもあるでしょ?」
今、そう思いましたね?

 

ところが、皆さんが想像するようなテストでは無いんです。
あ、もちろん、ロールプレイをするという意味では同じなんですが。

何が違うのか?
簡単に言うと、

 

「レェベルがちがうんだよ!」(by外道)

 

そうなのだ。
このテストを受ける新人たちのレベルが世間とは違うのだ。
具体的に何が違うのか?
例えば、この大型新人T君を教えているRさん(20代後半・女性)は、漢字が書けない。それも、とびきりのレベルで書けないのだ。「社内で求められるレベルの文章が書けない」とか言うレベルの話であれば、それは社内での教育の問題なのかもしれないが、「漢字が書けない」というのは社内の教育云々のもっとずっと前段階の話だ。

で、一体どの位のレベルで書けないのかというと、「進捗」という漢字を「しんぽ」と読み、「シンチョク」という言葉を書かせると「進直」と書く。例えて言うならばこんな感じだ。もちろん、「たまたま「進捗」という言葉を知らなかっただけなのでは?」という風に思う人もいるかもしれない。かく言う俺もその口だった。だけど、すぐに分かった。そんなレベルでは無かったのだという事が。そして、そんなRさん(20代後半・女性・漢字苦手)だけが、教育係としてただ一人の適任者である。この事実が、ウチの会社の人材不足というか、層の薄さというか、ある意味での層の分厚さを雄弁に物語っているのだ。


世間と比べると、こんなにレベルの違いがあるウチのスタッフが教える、ウチの新人スタッフ(就業経験無し)なのだ。そりゃ、面食らうしかないのだ。

 

そんなウチの会社の儀式。
乗り越えるには、やっぱりそれ相応のモノが必要だ。

 

今日の大型新人T君も多くの時間と多くの労力をかけてきたようだった。

だが、なんと、この大型新人T君、これだけのモノをかけてきて、
結果、先日会得したはずの『笑顔』が全くできなくなっていた。
正確に言うと、本人は頑なに笑顔だと信じているけれども、
実際には、それはそれは不自然な引き攣り顔での対応になっていたのだ。
これには、俺が驚いた。
ついこの前、「笑顔は気持ちの動き」なんて事を自分の身をもって体得したはずのT君が、全く不自然な笑顔というには余りにも恐ろしい表情を浮かべて、挙句、「今日は笑顔がよく出せて~」などと自分で言ってしまうくらいの客観性の無さを身に付けてしまっていた。

 

ああ、なんということだろう…。
ウチの会社が一人の若者の未来を潰してしまったのかもしれない。
そんな事が頭をよぎってしまう出来事だった。

 

その後、様々なアドバイスと言う名の指導を行い、これまでの練習で身に付けた悪しき習慣をなんとかその場で修正する事に成功したので、もう一度本当の笑顔を思い出してもらいどうにか彼の儀式を終了させることができた。


この出来事を、唯一の社内での味方である後輩のMさんと話していた。
その時に、こんな話になったのだ。


『彼らは、すでにそこにあるモノを活用せずに、そのモノに似ているけれども全く別のモノをわざわざ新しく作り出そうとしているのではないか?』ということだ。

 

どういう事かと言うと、
例えば、T君は笑顔の本質に迫ったので、
不自然さが無く、輝くようなとても良い笑顔ができるようになっていた。
にも関わらず、せっかくできるようになった良い笑顔ではなく、
この儀式の為にわざわざ、新しく『笑顔を作る』という行動を行う事で
結果として手に入る表情(というより顔面の動きの形)を習得したのだ。
そりゃあ、結果は火を見るよりも明らかだ。

 

これはほんの一例な感じだ。

 

だけど、
この一例よりももっととんでもない、
この一例よりももっと困り果ててしまうような、
そんな様々な出来事が、
過去の新人たちの間には山ほど生まれているのだ。
そういう意味でレベルが違うのだ。

 

そして、このレベルの違いこそが、
このテストを『儀式』と呼びたくなる理由なのだ。

 


なぜかって?

 


この様子がまるでアレにそっくりだからだ。

 

 


あの名作漫画『鋼の錬金術師』(著:荒川弘)で、
主人公兄弟が初めて行った錬成の儀式の様子に。

 

人間を構成している成分と同じ材料を元に、
亡くなった母親を作ろうとした錬成の儀式。

 

その結果、
生まれ出てきたのは、
母親と同じ成分でできた、
だけど確実に母親では無い”何か”が産まれた。

 

ウチの若手が通過する儀式でも、
あの主人公兄弟が、
錬成の儀式の結果、
片脚と弟の体を失ったように、
自分達の大切なモノを代償にして、
手に入れているのだ。

 

自らが欲しがった”何か”を。


何かを手に入れるには、それ相応のモノが必要だ。
だけど間違った方法を選択すると手に入るモノは、
欲しかったモノとは全然別の”何か”なのかもしれない。

 

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