シオタの塩分過多な日常

シオタです。「しょっぱい自分が、塩分過多な毎日をどう過ごし、いかに楽しく生きていくか」がテーマです

見極めろ!表層と深層を!

f:id:shiotapathos:20180905225354j:plain

 

物事の本質に迫る瞬間はいつだって楽しい。

 


今日、大型新人のT君(20代前半・男性)と立ち話をする機会があった。


大型新人のT君は、文字通りガタイのでかい大きな体型で、

入社から2カ月程度の新人だ。

さらに彼の大型ぶりはガタイだけに留まらない。

彼は、ウチの会社でする仕事が初めての仕事だ。
学生時代にアルバイトをした経験もなく、

ボランティアなどもした事がない。
もちろん大学卒業してから就職もアルバイトもしていない。
文字通り、人生における初めての仕事をウチの会社に入ってからしている。
なので、通常中途入社を採用した場合に当然身に付けているであろう「きほんのき」すらも、彼は持っていないという前提で育成にあたっているのだ。
そういう意味で、様々な恩恵をT君自身はもちろん、他の社員やウチの会社にもたらすかもしれないという事で、俺はこっそり彼の事を大型新人と呼んでいるのだ。

 

そんな大型新人のT君が何やら指導係の先輩に言われた言葉で悩んでいるらしいのだ。
立ち話をする時間があったのでその悩みについてちょっと聞いてみた。

 

T君:「お客様を迎える時の僕の笑顔が不自然だって先輩から指摘を受けたんです」
シオタ:「不自然?」
T君:「はい。まるでリアルなお面みたいだって言われてしまって」
シオタ:「(ずいぶんひどい事言うな)お面みたい?」
T君:「はい。それで、自然な笑顔ってどうしたらいいのかなと思って」
シオタ:「自然な笑顔ね。T君てこの仕事するまで一度も笑った事無いの?」
T君:「いえ。もちろんあります」
シオタ:「そりゃそうだ。じゃあ、T君は笑顔って何だと思う?」
T君:「笑顔って何ですか?えっと、笑顔は笑った顔じゃないんですか?」
シオタ:「笑った顔って何?」
T君:「えーと、目が細くなって」
シオタ:「(目を細める)目が細くなって」
T君:「それで、口角が上がった顔ですかね」
シオタ:「(口角を上げる)口角が上がった顔ね?じゃあ、こんな顔?」
T君:「(シオタの顔を凝視して)…いえ。それだと不自然な笑顔ですね」
シオタ:「なるほど。じゃあ、今言ってたのは笑顔じゃないって事だね」
T君:「うーん…そうなりますね。でも要素は同じですよね」
シオタ:「そうだね。じゃあ、笑顔って何のために必要なの?」
T君:「何のため?えーと…(沈黙)お客様に安心してもらう為ですか?」
シオタ:「それもあるんじゃない?他には?」
T君:「他に?えーと…(沈黙)嬉しい気持ちとか?」
シオタ:「それもそうだと思う。あとは歓迎の意志を相手に伝えたりとか」
T君:「なるほど」
シオタ:「じゃあ、笑顔に必要なものは何?」
T君:「えーと、気持ちです」
シオタ:「だね。はい、じゃあやってみよう」
T君:「え?え?」
シオタ:「じゃあ俺がお客さん役ね」
T君:「え?今ですか?」
シオタ:「こんにちはー」

 

という感じで、立ち話からそのまま笑顔の練習をしてみた。
そしたら、すぐにできるのだ。
まあ、当たり前の話なんだけど。

そして、なかなか良い笑顔なのだ。
実に、T君の不器用だけどまじめな性格がそのまま出たような笑顔だ。

 

この立ち話から何時間か経った後に、退社する間際にまたT君に会ったのでその後どうだったのか聞いてみたのだ。
そしたら、彼がこんな事を言っていた。

 

T君:「今日は笑顔の本質が分かりました!」
シオタ:「へー。笑顔の本質って何?」
T君:「笑顔は気持ちの動きを表すって事です。ありがとうございました」

満面の笑み、自然な笑顔で、こんな事を言えるようになったT君。

 

本質がわからなければ、些末な目に見えるわかりやすい事象だけを再現するしかないのかもしれない。だけど、ひとたび本質がわかればもうその事柄は何度でも再現可能になる。そして、本来の目的を見失う事もない。おそらく彼は、これから笑顔の作り方で困る事は二度とないだろう。

 


「やっぱり、大型新人の異名は伊達じゃないのかもしれない」
そんな事を思いながら、帰っていく彼の後ろ姿を見送った。

 

ズボンから出ているシャツの裾も、大型新人の片鱗の証なのかもしれない。

 

 #大型新人 #新人 #ルーキー #教育 #本質 #形式 #表層 #深層 #再現性 #仕事 #社員育成 #悲哀 #中間管理職