シオタの塩分過多な日常

シオタです。「しょっぱい自分が、塩分過多な毎日をどう過ごし、いかに楽しく生きていくか」がテーマです

「まるで絵にかいたような不機嫌さ」を表現できるのは彼だけだ

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そういえば、この前、会社でこんな事があった。

 

ウチの若手がメインになって進めていた春先に行うちょっと大きめのイベントがある。現在も準備が進んでいて、徐々に形が整いつつある。このイベントは、ウチの取引先である会社に出展してもらうイベントで、東京都内のとある会場を借りて、大々的に行うお客さん向けのイベントだ。

 

出展してもらう取引先の企業については、イベントのコンセプトや、今後の付き合いなどを鑑みて、どんな企業に参加してもらうかを若手達に考えさせたうえで、声掛けをしていた。

もちろん、最終的には社内で承認をもらわないといけないので、本決まりではないが、若手達の間では「今回はこのラインナップでいきたい」という案が固まっていた。当然、各企業への下話も終えている状態だ。

 

ところが、このイベント開催にあたり協賛しているとある大手企業からそのラインナップに物言いがついた。色々と理由をつけてはいるが、つまるところ「俺達に旨味のある企業を呼べ」という事をイチャモンレベルの理屈をつけてごり押ししようとしているのだ。

 

ウチの会社は、この大手企業のおかげで成り立っている部分は大きい。だけど、以前はこんな事があるたびに、やんわりとバトルをしていたのだ。いつも、最終的にはウチが多少譲歩して、先方が大きく譲歩する形で治まっていた。ところが、今回は先方が「どうあっても一歩も退かない」という姿勢のようだ。なんとなく理由は想像がつくが、我々からするとどうでもいいような理由なのだ。でも、それは、向こうのお偉い様方からすると定年退職後の行先に関わる事らしいので、文字通り死活問題なのだろう。

 

そんな事情なので、今回はウチの会社が全面的に譲歩する事になった。

ウチの社長曰く、「事を構えてもしょうがない。ここは退いてやればいいんだよ」との事だ。その代わり、「イベントへの来客数については先方が言ってた通り、気にしないでやりゃあいいんだよ」とも。

そうなのだ。

先方の担当者がボソッと言っていたのが「今回は参加企業をウチの都合でやらしてもらう代わりに、イベントの来客数については特に気にしない事にしてるので」という事なのだ。イベントをやる以上、いつも来場者数の目標値は決まっていた。それが今回無いのだ。でも、そりゃそうだ。お客さんのニーズには全く響かないようなラインナップになってしまうのだから仕方ない。そこのところを、先方が飲むんだから好きなようにやらせてやれというのがウチの会社の方針のようだ。

「それだったらやらなきゃいいのに」という皆の心の声は、ぐっと押しとどめつつ、粛々と準備を進めるようにと、ウチの社長からの指示が出た。

 

そしたら、ウチの若手に火が付いたのだ。

 

もはや、話が通じない程、頭に血が上っている。

「恐らくこうなるだろうな」と思っていたので、彼らだけ別室に呼んで話をしたが、想像以上に血が上っている。もはや、どんな言葉をかけても反応が変わらない。目を剥いて、ずっと怖い表情で、額に血管を浮かべながら、「チッ。なんでだよ。なんなんだよ」「は~。どうなってんだよ」「あ~。もういいや」などと同じような言葉を吐き続け、俺の話は全く聞かない。まあ、そりゃそうなんだけど。でも、時間も時間だし、いい加減にこの話を終わりにしないといけないのだ。

 

そこで、彼らには様々な話をした。

どんな経緯でこうなったのか。ウチの会社の思惑と先方の思惑について。一体、どれだけの労力を費やしてきたのか。話をひっくり返してきた時の根拠が全く正当性が無いモノだった事。そして、俺がどれだけ頭にきているのか。それをどうやって今飲み込んでいるのか。その辺りの話をしたのだ。そこまでやって、ようやく俺の話に耳を傾ける様子が見えてきたので、一気に畳みかけるように、補足説明をして話を収束させたのだ。

 

そして、翌日、その若手が朝から話かけてきた。

「シオタさん、昨日言ってた話なんですけど、結局どこを参加させるんですか?」と。

 

あの時、その話は散々していたはずだ。

リストを見せて、ウチが候補にしていた企業と、先方から出てきた企業のリストを良く見比べたはずだ。それなのに、その事は無かった事になるのか。確かに、あの時こいつはかなり頭に血が上っていた。目も血走っていたし、同じことをずっとブツブツ言ってた。あの状態になると、その時していた話は覚えていないし、見ていたリストも忘れちゃうという事か。

 

こんな出来事を目の当たりにして、俺は、あらためて、彼が怖くなったのだ。

そして、もちろん、この彼はウチの会社の“キレる若者”を代表するY君である事は言うまでもない。彼は、やはり、俺の想像以上の人物なのかもしれない。