シオタの塩分過多な日常

シオタです。「しょっぱい自分が、塩分過多な毎日をどう過ごし、いかに楽しく生きていくか」がテーマです

モグラの目は何を映すのか

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昔、あるところに、善良な農家のおじさんがいました。

おじさんは、優しいおばさんと3人の息子たちと仲良く楽しく暮らしていました。

おじさんは広い畑で色々な季節の野菜を有機栽培して、おばさんはその野菜を市場で売って生計を立てていました。

おじさんの作る野菜は美味しくて体に良いと町中で評判の野菜です。

 

ある日、みんなで朝ご飯を食べている時に、おじさんが独り言を言いました。

「最近、ウチの畑にモグラが出て畑を荒らして困ってるんだ。モグラが畑に出なくなったら助かるんだけどなあ」

おじさんがそう言ったので、おじさんの3人の息子たちは張り切ってモグラ退治を買って出ました。

「僕たちにまかせてよ!」

 

3人の息子たちは畑に飛び出して行ってモグラ退治の作戦会議を始めます。

長男は「モグラが出たら叩こう」と言うと、

次男は「叩く時には、このハンマーがいいよ」と提案し、

三男は「そのハンマーで叩く時はこんなスピードで力いっぱい叩こう」と実演してくれました。

「これなら当たったらモグラもいちころだね!そしたらお父さんも絶対喜んでくれるし、絶対誉めてくれるよね」3人が口をそろえて言います。

 

でも、3人の息子たちは代わる代わるハンマーを振るっていますが、なかなかモグラを叩けません。

自分たちでモグラ退治をして、おじさんを喜ばせたい3人の息子たちですが、汗まみれになってハンマーを振るってもモグラには当たらず、一向にモグラは退治できません。

 

そんな日が何日か続いた頃、

隣町に住んでいる姪っ子が遊びに来ました。

すでにモグラ退治をしている3人の息子たちの様子を見て、姪っ子がおじさんに聞きました。

「3人は何をしてるの?」

モグラが畑を荒らして困ってるんだ。息子たちが一生懸命モグラ退治をしようとして、モグラ叩きをしてるんだけどこれがなかなかうまくいかないみたいなんだ」とおじさんは言いました。

姪っ子はおじさんに聞きました。

モグラが畑に出なくなればいいの?」

おじさんは答えます。

「そうなんだ。モグラが畑に出ると野菜がダメになっちゃうんだ。モグラが畑からいなくなれば助かるんだけど」

 

姪っ子は考えました。

モグラが畑に出なくなれば良いってことは、モグラが畑から出ていきたくなる方法を考えればいいのかなあ。という事は・・・」

そして、モグラ叩きを続けている3人の息子たちに自分が考えたアイデアのうちの1つを伝えてみました。

 

姪っ子:「モグラの天敵の猫を畑の近くで何匹も飼ってみるのはどうかな?」

長男:「何で猫を飼うの?モグラたたけばいいじゃん?」

姪っ子:「だって何日もハンマーふるっても退治できないから大変じゃない?」

次男:「でも、お父さんがモグラ出なくして欲しいって」

姪っ子:「猫を飼えば、猫が怖くてモグラがいなくなるんじゃないかな?」

三男:「いなくなるかもじゃダメなんだよ。明確にいなくならないと。だから僕たちがハンマーで叩こうとしてるんじゃないか」

姪っ子:「え、でも・・・猫が追い出してくれると思うよ」

長男:「全く、姪っ子ちゃんはこれだから。いいから黙ってみてなって。俺たちがモグラを叩いて退治するところを」

次男:「そうそう。今日は、もっと軽くて素早く何度もたたけるハンマーに変えたからさ。これまでみたいにはモグラも逃げられないよ」

三男:「俺も、毎日筋トレしたから、最初とくらべたら1時間で倍の回数振れるようになったし、当たれば確実にモグラ退治できるし」

姪っ子:「・・・(おじさん、モグラがいなくなる事を望んでたんだよね)」

3人の息子たち:「ま、姪っ子ちゃんは家でゆっくり待っててね」

 

そして、日が暮れて3人の息子たちは家に帰ってきました。3人とも口々に、

「あー疲れた。今日も頑張ったよな俺達」

「ほんとほんと。我ながら毎日頑張ってるよね」

「でもモグラのやつも逃げ足速いよね。全然当たらない。でも、次こそは!」

「また明日も3人で頑張ろうぜ!えいえいおー!」

こんな調子で、とても充実したいい顔をしています。

そして、毎日おじさんとおばさんが「3人とも今日もがんばったね。ありがとう」と誉めてくれるのが3人にとっては何より嬉しい事なのです。

おばさんの作ってくれたおいしい晩ごはんを皆で食べながら、今日頑張った事をおじさんに話し続ける3人の息子たちと、それを少し離れた席で聞いていた姪っ子。

この時の姪っ子の気持ちは一体どんな気持ちだったんでしょうか。

 

 

さて、あれから1年が経ちました。

おじさんの畑は一体どうなったんでしょうか?

 

 

あれ?何やら畑の方からドドドドドという大きな音が聞こえます。

 

 

!!

驚きました。

見ると、3人の息子たち全員が、片手に一本ずつのハンマーを持ち、更に口でハンマーを加えて、さながらロロノア・ゾロ(@ワンピース)の3刀流の構えから、かなりのスピードでハンマーを振り下ろし続けているではないですか。

あんな芸当ができるようになっているなんて、恐らく、血のにじむような修行を積んだに違いありません。

かなりの破壊力とスピードでモグラたたきをしていますが、どうやらモグラは退治できていなさそうです。そもそも、まだモグラはいるのでしょうか?

今のボコボコになった畑の状態からはモグラの形跡は確認できません。

もちろん野菜の形跡も跡形もありませんが。

 

でも、3人の息子たちの表情は、あの晩よりも更に生き生きした表情をしています。

 

そして、おじさんの畑から採れる野菜はだんだんと量が減って、風味も落ちて、売れ行きも下がっているという話を小耳にはさみました。

 

あれ以来、姪っ子がおじさんの家に遊びに来ることは無いそうです。

 

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