シオタの塩分過多な日常

シオタです。「しょっぱい自分が、塩分過多な毎日をどう過ごし、いかに楽しく生きていくか」がテーマです

炭火の熱、煙、ニオイ。そして、飛んで火にいる欲の蟲

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今日の終業後、上司が取引先との飲み会に参加すると言っていた。

当初は行きたくないから参加を断っていたらしい。

主催はウチの社長である。

 

上司の役職は課長職。

社内のポジションとしては、そこまでのポジションではない。

だけど、このH課長は社内で唯一、社長の誘いを断る事ができる存在なのだ。

どうやら、社長とは15年来の付き合いらしい。社内で誰よりも長い付き合いのようだ。

そんな、腐れ縁とでもいうような付き合いの中で、築かれた関係性をフル活用して、自分の言いたい事を常日頃から社長に言っているH課長。社長は寛大な人なのか、それとも他の理由があるのか、それを特に気にしている様子もないように見える。

だから、H課長はこんな事を言って飲み会への参加を断っていた。

「行ったって、どうせ面白くもない話を聞いてなきゃいけないんだから」と。

それが、なぜ急に参加しようと思ったのか。

特に興味もない話だったけど、H課長が勝手に話をしてくれたので俺もその理由を知る事になった。

どうやら、今日行く店が社長の一声で変更になったようだ。

当初は、駅前の居酒屋だった様子だが、近隣で美味しいと有名な値段の張る焼き肉屋になったとの事。その配慮もどうやらH課長のために為されたらしい。

H課長は無類の焼肉好きとの事。これも特段興味は無いのだけれど、勝手に話をしてくれたので知る事になった。ちなみに、H課長の好きな食べ物は、焼肉・唐揚げ・餃子だそうで。これも勝手に話をしてくれたので知る事になった。

ホントにいらない知識が増えてしまった。

 

参加する事を決めたH課長はこんな事を言っていた。

「せっかくあの焼き肉屋に行くんだから食べたいもの頼んでいいのかな?高いの頼んだら怒られないかな?でもせっかく行くなら美味しいもの食べたいからなあ。まあ、でも自腹切る飲み会だったら絶対行かないけどね。高いし、つまらないから」と。

ここまで好き放題言いながらも、こんなに心の底から楽しみにできる事があるって、なんだかとてもおめでたい人なんだなと思った。

 

自分の欲望に、心底正直に生きているんだなあ、と。

 

言いたい事を言って、

やりたくない事は断り、

欲しいものはどんな言動をしても手に入れようとし、

三大欲求のうちの一つ『食欲』に忠実に行動する。

全身全霊で欲を満たす為に『生』を謳歌する。

 

全く羨ましくないし、全く憧れる生き方ではないけれども、このH課長と話をしたり行動を見ていたりすると『生きるという事は己の欲を満たす本能的な行動をし続けることである』というこの人なりの哲学(?)を体現しているんだなあと感じる。

俺から見ると全く美しくないし、むしろ醜悪さを感じるけれども、この人にとっての美学なのかもしれない。(美学だと認識して貫いているとしたら、もっと美しい様式が見て取れるんだと思うから、美学ではないというのは分かっていつつも)

 

ちなみに、この今日の飲み会に行く行かないの話がされたのは昨晩の事。

昨日の月曜日に、週の頭からH課長に残業を言い渡され、心底どうでもよいほんのちょっとした業務をサクッと終わらせて「さあ帰ろうかな」と思ったのも束の間、その後に、延々3時間に渡ってされた話なのだ。

全くもって、意味のない時間だった。

もちろん、残業代が出ない会社だからこそ、こんな無駄な時間を過ごしてもあの人はちっとも何とも思わないのだろうけど。

H課長のこれまでの仕事ぶりや日頃の言動から考えると、会社に遅くまで残って仕事をしている自分自身の姿が、自身のアイデンティティと化し、「長時間働く働き者の私を認識して欲しい」と常に会社にアピールしているように見えるのだ。

 

一体『生産性』とは何なんだろう?

もしや『仕事』の概念が違うのでは?

そんな事を考えざるを得なかった、とてつもなく重たい週の幕開けだった。

 

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