シオタの塩分過多な日常

シオタです。「しょっぱい自分が、塩分過多な毎日をどう過ごし、いかに楽しく生きていくか」がテーマです

止まらないのはカメラだけじゃないのだ

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昨日、金曜ロードショーで放送された『カメラを止めるな』を録っておいたので、楽しみにしながら観賞した。

 

昨年からずっと様々なところで話題になっていた。

仲間も早々に観に行っていたし、律義に「ネタバレになるから」という事で内容について話さないというスタンスでいてくれた。ツイッターでも、ネタバレをしている人のツイートを見た記憶は無い。みんな、律義にネタバレをしないという事を守っていた人が多かったのだろう。だけど、俺は結局映画館に観には行かなかった。

「話題にはなっているけど、そのうちレンタルが始まったら観てみようかな」と思っていたくらいだ。

 

今日、この映画を観終えた感想としては、

「すごく面白かった。ネタバレしないでいてくれた人達みんなに感謝します」

この一言に尽きる。

 

話題になっていたのは映画の内容もさることながら、何と言っても『製作費300万円』が一番話題になっていたと記憶している。映画の事は全然詳しく無いけれど、この金額が映画を撮るにあたってとんでも無く低額であるという事は素人の俺でも分かる。

 

恐らく、この映画が公開されてから今日までの間で、様々な人達がこの映画について、いわゆる“ビジネス的な視点”での分析を行っていてそれを発表しているんじゃないかなと思う。この製作費でこれだけの成功を収めたのであれば、普段は映画に興味をあまり持たないようなビジネスパーソンも、多くの人がこの映画に注目したんじゃないかなと、今さらながらに思っている。

 

低予算なのも凄い。40分近い映画の冒頭部分をワンカットで撮影しているのも凄い。出演している俳優に有名なキャストがいないのも凄い。監督や撮影スタッフも然り。そして、ストーリーの組み立て方も凄い。

この映画は、本当に色んなモノが「凄い」と思うんだけど、何より凄いのは、自分達の得意分野である“映画撮影・映画業界”という一般の人達にはあまり馴染みの無い世界を舞台にしたところじゃないかと思っている。

 

素人の俺には、映画撮影や映画の業界とそこに携わる人達というのがどんなモノなのか全く分からない。予備知識もほとんどない。そういう場合には、多くの説明が必要になる場合が多い。にも関わらず、映画素人の俺が観ても、この映画にすぐにしっかり引き込まれてリアリティを感じた。本当に、一瞬たりとも目が離せなかった。金曜ロードショーの録画を観終えた後に、「こんなに面白いなら、公開時に映画館で観たらもっともっと面白かったし、あの時のこの作品を取り巻く空気感を一観客の当事者としてリアルに感じたかったなあ」と思ったのだ。

正直に言って、映画館で映画を観ても、「これだったらDVD出てから観れば良かった。テレビで放送された時に観る程度で良かった」と思う事はこれまでに数えきれないほどあった。と言うか、映画館で観た映画の内の半分位はそう思う事が多い。

恐らくこれは、俺が映画素人というのも関係しているんだとは思うし、何しろ、映画鑑賞の料金が高いのだ。何かの割引デイを狙って行かないと¥1800かかってしまう。映画素人の俺にとっては、この金額を出して「めちゃくちゃ面白かった!」という感想を抱けない場合には、前述のような感想になってしまうのだ。

 

だけど、『カメラを止めるな』はそれとは真逆の感想だ。

自分の自分達の得意分野に客を引きずり込み、そこで提供するサービスに対しては妥協を排して出来得る中での最高のパフォーマンスを発揮する。その為には、“一発勝負”という方法によって自分達を追い込んで極限の力を出す方法を選択する。そこに、新規性や話題性を盛り込みつつ、“映画”というそのサービスが本来持っている本質的な部分である、観客を楽しませるという部分については、徹底的に考えて考えて練り込まれた上で作り込んだモノ。

自分の得意なモノで勝負し、最大限の努力で取り組み最高のパフォーマンスを発揮し、新規性と話題性で他のモノと差別化をはかり、本質は捉えて離さない。それをしたからこその、この成功なんだろう。そして、何より、この映画から迸り続ける“映画愛”だ。これがあるからこそ、それ以外の部分が生きてくる。そこには、愛が間違いなく存在しているのだ。

 

もちろん、「たまたま当たっただけで、そんなの結果論だし後付けだろう」と言われてしまうのも良く分かる。だけど、たまたま当たったからこそ、映画素人でも観ようと思ったわけなのだ。

 

そして、何より、“話題になった映画”という前情報しか持っていない映画素人が観る映画はこの世界に数えきれないほど溢れているが、それらの映画を観て「公開時に映画館で観たかった」と思わしめる映画は一体どれくらいの割合で存在しているんだろうか。

恐らくなんだけど、この『カメラを止めるな』を観た映画素人の中のある一定の割合の人達は、こう思うに違いないのだ。それ位面白い映画だった。こんな良い物が金曜ロードショーで観られるだなんて、ホントついてる。