シオタの塩分過多な日常

シオタです。「しょっぱい自分が、塩分過多な毎日をどう過ごし、いかに楽しく生きていくか」がテーマです

プロレスは本当に素晴らしいよ


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このお正月休み唯一にして最大のイベントに参加してきた。

場所は、東京ドーム。イベントは、言わずと知れた『イッテンヨン』。新日本プロレスが毎年開催する東京ドーム大会の通称だ。今年はなんと1/4・1/5の二日間開催するのだ。そして、この二日間の大会で獣神サンダーライガーが引退する。

現役生活32年。平成の間中ずっと獣神サンダーライガーとしてプロレスを続けて、令和2年に引退。赤ちゃんが立派なオッサンになるだけの長い時間をずっと現役のプロレスラーとして戦ってきた人の引退試合を、俺はリアルに観戦しておきたかった。

でも、ライガーと言うプロレスラーにはそれほどの思い入れは無かった。「ライガーが一番好きなんです!」なんて言える程の興味を持ったことは無い。もちろん、骨法を修得したという触れ込みで掌底や浴びせ蹴りを使ったり、シューティングスタープレスを使ったり、スーパーJカップで優勝したりと言った派手な活躍をしていたので、どっちかと言えば好意的な目で見ていた選手だった。大好きな選手ではないけど、好きな選手ではあるという感じで。

でも、ある時期からライガーがどんどん嫌いになっていった。対戦相手を危険な角度で頭から落としたり、無茶な技をかけたりする頻度が多くなっていったのだ。いわゆる、四天王プロレスのような、いや、それをもっとダメにしたような大技のインフレを起こしまくっていた“プロレス冬の時代”の最大の原因の立役者として大活躍していた頃の話だ。あの頃のライガーは大嫌いだった。受けの美学を持って臨んでいる相手を、敢えて受けきれないように投げ落とす。「これは一体何なんだろう?何を見せられているんだろう?」そんな思いを散々味あわせてくれた。
同時に、それを見て熱狂していき更に「もっと過激なモノを見せてくれ!」という身勝手で低俗な欲望を選手に向けて煽り、過激であれば何でもいい、危険であれば何でもいい、そんなクソみたいなモノを求めて見るために『プロレス』というモノを利用する、“プロレスファン”も大嫌いだった。

そこから俺はプロレスを見るのを止めた。テレビもスポーツ新聞も雑誌も見るのも止めた。プロレスというモノの情報を追うのを止めた。俺の大好きなプロレスを心底嫌いにならないようにするための苦肉の策だった。だから、あの頃は、誰かとプロレスの話になっても「今はプロレスを見ていない。プロレスのファンで、特定の選手とか団体のファンではない」と言っていた。

そんな時間が10年以上はあったかもしれない。それでも、大好きなプロレスの事はいつも忘れずにいた。そうしてたまたま見た『ワールドプロレスリング』が面白かった。大嫌いになりそうだったクソみたいなプロレスモドキの臭いが抜けて、俺が好きだったプロレスがもどってきているように見えたのだ。

それから、8年過ぎた。

あの頃、大嫌いだったライガーは、俺がプロレスをあらためて見始めてからは、すっかり落ち着いていた。むしろ、ちゃんとしたプロレスを率先してやるようになっていた。もちろん、年齢が最大の要因なんだろうとは思うけど、若くしてもちゃんとしたプロレスをする選手はたくさんいるからそれだけではないんだろう。そこら辺を想像することはできるけど、プロレス冬の時代を自分の目で見ていないからリアルなところは何とも言えない。解説席に座って話している姿も、俺が嫌いだった以前からは想像できないような内容だった。そこには、以前のライガーからは感じられなかった何かがある気がしていた。そして、俺はそんなライガーに対して好意を抱いていた。ただ、ずっと前にライガーに対して感じていた好意とは別の形だったとは思う。

しばらくぶりに再会したライガーから俺が感じたのは、間違いなく“愛”だった。プロレスに対する愛だった。自分だけが目立とうとするようなエゴイスティックなものではなく、間違いなくプロレスというモノに対する愛。そこに、自分と同じモノを見たんだと思う。

だから、俺はライガー引退の報を聞いて、どうしても引退試合である東京ドーム大会に来たかったのだ。

俺は、イッテンヨンしか見に行けないからライガーの入場テーマをプロレス会場で聞くことはもう無い。でも、プロレス愛に溢れたライガーという選手の美学を目にすることができて、おまけに、ライガーゆかりのレジェンド達も見れて、イッテンヨンを見に来て本当に良かった。その他の試合についても言いたい事はあるけど、それは誰かとプロレスの話をする機会にでもとっておこう。

あの頃好きだった、あの頃大嫌いだった、そして、今は大好きなライガーさんに、ただただ、「お疲れ様でした」とだけ伝えたい。