シオタの塩分過多な日常

シオタです。「しょっぱい自分が、塩分過多な毎日をどう過ごし、いかに楽しく生きていくか」がテーマです

一寸のおっさんにも五分の魂


f:id:shiotapathos:20190721225754j:image

 

今日は朝から外出して華の都大東京まで行ってきた。

俺の住んでいる場所からは距離にして100km強。それなりの距離ではあるが、そこそこの時間で移動ができたので、いつもはゲゲゲの鬼太郎をテレビで見終わる頃には目的地に着いた。

今日は、昔の仲間の応援の為に東京までやってきた。総合格闘技の試合に久々に出るというのでその応援だ。

会場の最寄り駅から蒸し暑くて空気の悪い東京の道をしばらく歩いた先にあった建物の中に試合会場がある。少し歩いて会場に入るなり、モアっとした熱気とともに漂う汗の臭い。その瞬間に真っ先に頭をよぎった「懐かしい」という感覚。
こんなに良い香りとは正反対にあるような汗の臭いで懐かしさが喚起されるなんて我ながら何なんだろうとは思うけど、それでも懐かしくて少しワクワクしてしまうのは抑えきれなかった。他人の出る試合を応援に行ってリングに上がって試合をしている人達をみて、スゲー楽しそうだなと思ってしまった。

そんなワクワク感を持ちながらも、とりあえず仲間の試合順を待ちつつ、会場で落ち合った俺と同じように試合の応援に来ていた昔の仲間と適当に話をしていたら、急遽、試合のセコンドに付いてくれとの要請があった。面喰らった俺が「技術面のアドバイスができない」のを理由に断る前に、技術面のアドバイスは要らないからとりあえず座っておいて欲しいと言われてしまい承諾する他無い状況になってしまった。

久々の試合直前の選手に帯同してのセコンドだ。もはや彼の日頃の練習を俺は見ていないので当然技術面のアドバイスはできない。最新の技術も全く知らないのでその点からもアドバイスらしいアドバイスはできない。でも、過去に彼と一緒にやってきた練習や彼の性格や考え方や価値観については恐らく俺より知っている人はこの世の中にそんなに存在しないだろうという事は分かるし、だから久々のこの試合のセコンドに付いてくれと言ってきたのだろうという事くらいは分かるのだ。であれば、俺が出きるのはメンタルが折れないように言葉をかける事と、過度な危険に陥った時にストップする役割りだろうと思っていたら、彼からもその通りのリクエストがあった。

それならば、彼の覚悟のほどを特等席で見届ける事にして、いざ試合場のすぐ横でセコンドについた。

結果は敗戦。

結果だけ見れば特筆するような事は無い敗戦だ。でも、彼の事を知っていて、彼のこれまでを知っていて、彼の今を知っていると受け取れるモノは全然違ったのだ。本人がこの試合についてどう考えてどう受け止めているかで、この先の彼に繋がる内容が変わってくるだろうことは間違いない。敗戦だけど、そこから今後の勝利に繋がるたくさんのモノが得られる試合だった。これまでに観てきた彼の試合と比べても今回が最も良く、今回が最も輝いていた。

「年齢なんてただの数字だ」と、誰かが言っていたけど、今日の彼を見ていたら自然とこの言葉が頭に浮かんできたのだ。あんなどうしようも無いヤツを見て、単なる負け戦を見て、最終的には完敗とも言える試合を見て、もはや腐れ縁とも言える関係性のおっさんの姿を見て、その上で、「カッコいいなアイツ」と思ったのだ。

カッコ良さというのは、本当にどこに転がっているのかわからない。あんなにくたびれたおっさんでも、試合に負けてもなお、眩しくかっこよく見える事があるのだ。

もちろんこんな事は本人には伝えていないし、今後とも伝える予定は無い。