どうやらもう魔法がとける時間らしいぜ
不思議だと思っていたことの謎が少しだけ解けた気がする。
これまで、仕事をもらってきた案件の中で、なぜ受注できたのか理由がよく分からないモノが幾つもあった。発注してくれた人達はみんな理由を明確に話さない。聞いてみたところで、明確な理由は無いし、理由よりも発注してくれたという事実が俺たちには嬉しい事なので、そこまで深追いしなかった部分もある。だから、あくまで仮説を立てて、「そういうことなのかもね」という事で理解していた。
だけど、どうやらそれは正確な理解では無かったようなのだ。
もちろん、相変わらず明確な理由は分からないけど、今まで立てていた仮説では説明がつかないような感じになってきたのだ。現在の俺たちを取り巻く状況が大きく変わりはじめてきたのが大きいんだけど、以前の感じとはどうにもこうにも色々が違ってきているのだ。そこにきて、またもや、明確な理由が無い状態での受注が決まった。
嬉しいやら困惑するやらで、みんなで話し合った結果、新たな仮説が立ったのだ。
俺たちはどうやら色んなモノを見誤っていたらしい。間違っていたという訳ではなく、俺達が考えていたよりも、どうやらもっともっとフンワリしたモノとか柔らかいモノとかウェットなモノが大きく影響しているようなだということが分かったのだ。あまりにもロジカルに考えすぎていたというのが分かってきたのだ。もっと、感覚的というか、ロゴスよりもパトスというか、どうやらそんの感じのようなのだ。
理論や理屈が重要だと思っていたけど、理屈や理論や技術よりも思想と情熱の方が届くし、人が動く理由になるということが分かったのだ。
ようやく段々と見えてきた。この世界の多くが建前と装飾で成り立っていて、それを鵜呑みにすると、初心者は迷走してしまうらしいっていうことが。身をもって分かってきたよ。もう、騙されないし、惑わされないぞ。