シオタの塩分過多な日常

シオタです。「しょっぱい自分が、塩分過多な毎日をどう過ごし、いかに楽しく生きていくか」がテーマです

モンスターハンター誕生

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俺は、社内のクレーム処理を一手に引き受けている“特命係長”だ。

いつ起きるとも知れないクレーム対応とトラブルシューティングを引き受けている。

これまでに、数多のクレーマーと対決し、数多のトラブルを解決してきた。

ところが、今年に入ってからクレーマー及びトラブルの数が確実に増えてきている。

このまま増え続けていくと、近い将来、俺だけではこの対応は難しくなる事が予想される。そう会社に訴え続けてきたのが功を奏したのか、遂に、俺以外でもこの対応を行う部隊が編成される事になったのだ。

 

名付けて“特命部隊”。

名前の通り、“特命係長”である俺が彼らへの指導を行う事になったのだ。

この部隊の隊員は5名だ。役職者が1名と、一般社員が4名の編成だ。

メンバーの全員が、このような対応はした事が無い。いわゆる素人だ。まずは手始めに、対応時の心構えを知ってもらう為に、彼らにミッションを与えたのだ。もちろん、素人なので、そんなに特別なミッションではない。

 

ただ、「最近刊行された『クレーム対応完全撃退マニュアル』という本を読むように」と言って本を渡したのだ。

 

この本を読んでみたが、題名にウソ偽りは無かった。まさにクレーム対応の奥義が記載されているのだ。分かりやすく、事例がたくさん載っていて、どんな事に気を付けてどんな対応をして、どこに落としどころを持っていくけばよいか、また、悪い事例も載っている。クレーム対応をする人間からすると実によくできている本だ。もし、今現在クレーム対応に追われて困っているという方は、この本を読んでみる事をおススメする。間違いなく、今のあなたの役に立つ事が書いてあるはずだ。

作者の、援川さんという方は実際にクレーム対応やトラブルシューティングのプロフェッショナルとして仕事をしていて、その為の会社を経営している経営者でもあるようだ。

そんな人が書いている本なので、実に読みやすく、実用的でタメになる本だった。

 

この本は、俺も早々に買って読み込んでいた。

自分がやっている仕事につかえる部分がきっとあると思って買ったのだ。もちろん、様々な事例が載っていたし、ウチの会社では起き無さそうな事例も載っていて、幅広い対応について勉強になった部分がたくさんあった。でも、俺にとっての一番の収穫は、答え合わせになったという事だった。クレーム対応とトラブルシューティングを専門的に生業にしている人の対応と、俺が独自に編み出した対応がほとんど同じだったのだ。気を付けている部分、特に慎重になるべき部分、絶対に超えてはいけない一線、最終的な落としどころ、等など。まさに、俺が実戦の中で体得してきたポイントを独自にまとめて社内用に出している資料とほとんど同じ内容だったのだ。

これには、俺も驚いた。今まで、自分の対応で間違いないだろうと、何度も何度も仮説と検証を繰り返して、実戦でヒリヒリするような緊張感の中で試しながら辿り着いた、ある意味、俺なりの答えとでもいうべきモノと、この道だけで食べているプロフェッショナルがやっている事がほぼ同じ内容だったのだ。

 

もちろん、こんな事を個人ブログでただ書いているだけの俺の言葉にどんな信憑性があるのか信じない人の方が多いとは思うが、それは俺にはあまり関係ない。この内容は、俺と一緒に仕事をしたことがあって、この本を読んだことがある人であれば「全くその通り」だと納得するしかない事なので、自分で自分を誉める意味でここに書いておく。

 

そんな完成度が高くて、日常的にクレーマーとの対決が発生するような我々にとっては、まさに御守りにも等しいようなこの本を、俺にはもう必要なくなったので“特命部隊”のメンバーに寄贈したのだ。もちろん、読んでくれると思って。

ところが、部隊のリーダー格とも言える男性社員T君(30歳)に1週間後に聞いてみた。

「もうあの本読んだ?」と。するとどうだろう、こんな回答が返ってきた。

 

T君:「え?本?何の本ですか?」

シオタ:「あ、ごめん。質問が適当だったかな。この前、みんなに読んでねって渡したクレーム対応の本だよ」

T君:「あ、まだ読んでないです。ていうか、あの本はどこに置いてあるんですか?」

シオタ:「・・・。あれ?あのチームのメンバーは全員一読しておくように言ったよね?」

T君:「(ヤバいという顔で)あ、いや、えーと、K君あの本どこにあるんだっけ?」

K君:「(隣の席のK君が迷惑そうに)Tさん、あの棚に置いておきますって言いましたよね?」

T君:「あ、そうだっけ。そっか。あ、すぐ読みます」

シオタ:「いや、別に読まなくても大丈夫。みんながクレーマー対応をする上で必要かなと思って寄贈しただけなので。対応できる人には必要ないから大丈夫」

T君:「いや、じゃあ、すぐ読みます」

シオタ:「まだ読んでないって事は、対応できるって事なんじゃないの?あれから1週間経ってるし。あの本、3時間あればだれでも読み終わるって言ったよね。たまたまクレーム案件が無かったから、まだ対応してもらってないけど、もし案件が起きたら、対応できるって事だよね?」

T君:「あ、いや」

シオタ:「ちなみに、K君は翌日には読んだって言ってたよ」

K君:「はい。あれは読んでおかないとヤバいです。読んでおけば対応の方法わかるので、とりあえずやってみようと思えます」

シオタ:「いつも言ってるように、やるかやらないかは任せるんで。俺にできるのは必要なアドバイスをするだけだから。いよいよとなったら、俺がいる限りは俺が回収できるから最終的には問題になる事はない。だから、君がやるとしてもやらないとしてもそれは君の問題だから」

 

こんな会話が繰り広げられたのだ。

結局、「自分事」なのか「他人事」なのか、ただそれだけの話だ。

自分事として覚悟を持って引き受けると決めたら、おのずとやるべき事は見えてくる。

でも、他人事として引き受ける事をしなければ、何もやらないし考える事もしない。

全てはそれだけの話なのだ。

 

やればやっただけ高みに近づいていくし、やらなければ現状維持or後退していくだけなのだ。

 

仕事も筋トレも、仕組みは一緒なのだ。